会津美里の資源ポテンシャル

 

 会津美里町は福島県の西部に位置し、東京23区のおよそ45%の面積を持つ地域です。会津美里町を含んだ会津地方は、会津盆地を中心として多くの山林に囲まれ、農業生産を主産業としています。

 会津地方を1つの国のように見立てた時、貿易に相当する域外との経済的な収支を域際収支と言い、2013年度には603億円の赤字となっています。

 温泉資源や山林資源が豊富にあるものの、経済的な収支は大きな赤字である実態を、これから探り当て、活用可能なエネルギーポテンシャルの把握を試みていきましょう。

 なお、ここから先のデータは、すべて2013年のものです。

 

会津美里町の持つ山林資源

 

 会津美里町の山林は20,152haの面積を持ち、町全体の74%が山林の地域です。

 ここから切りだされる木材資源は、4,894㎥です。平均的な年間木材成長量から推測すると、会津美里町全体では毎年約65,000㎥の成長が見られます。

 残念ながら、わずか7.5%しか産出されておらず、9割以上が放置されています。

 

会津美里町に存在する水力発電所

 

 会津美里町には3ヶ所の水力発電所があります。それぞれの年間発電量は、

  宮川発電所    3,850,000KWh

  新宮川発電所    5,100,000KWh

  本郷発電所  12,800,000KWh

  合計     21,750,000KWh

で、会津美里町で年間に使用される総電力(約2億KWh)の10%強を、会津美里町の水資源から地産地消しています。

 

会津美里町で消費するエネルギー量

 

 まず熱量から見ていきましょう。

 石油・ガスなどで得るエネルギーの熱量は、753,285ギガジュールで、産業や家庭で使用する暖房などに使用されています。

 このエネルギーを灯油だけで得るためには、約2,000万リットルが必要で、約16億円分の化石燃料を外部から調達していると考えられます。

 これを、木材資源から得るには、約9万トンの木材が必要で、体積に変換すると約17万㎥が必要です。

 先に見た木材の年間成長量65,000㎥を大きく超えているので、現在の地産地消は難しいものの、持続可能な社会を目指すために熱量利用の省エネを考えることが不可能な値ではありません。

 

 次に、自動車などの輸送用燃料を見ていきましょう。

 ガソリン・軽油などの消費量は19,333キロリットルです。

 町全体での走行キロは、180,273,869Kmで、約25億円分の燃料を外部から調達している実態が見えてきます。単純に計算する燃費は約9.3Km/リットルで、これは案外、高燃費だなと感じます。

 もしすべてを電気自動車に置き換えると、約900万KWhの電力が必要となりますが、先にお出しした水力発電所の発電だけで自動車すべてを動かしてもお釣りが来ることになります。

 

 最後に、電力使用量を見ていきます。

 前述のとおり、約2億KWhの電力を消費しています。水力発電所による地産地消を除くと、約43億円分の電力を外部から調達しています。

 

 ここまでの消費をまとめると、外部に依存しているエネルギーを額に換算すると、

  熱:16億円 輸送:25億円 電力:43億円

の合計84億円を外部に依存している実態がわかります。

 

(参考)会津美里町の農業生産額 年間63.7億円

 残念ながら、エネルギー分野だけで、主生産品の売上を超える支出をしていることになります。

 

 

木材から生まれる価値

 

 近頃開発の進む高強度木材のCLT(Cross Laminated Timber)の原料として会津美里町で年間に成長する木材を利用すると、年間約2600軒の住宅に相当する木材が得られます。

 全量を熱として利用すると、約38%の地産地消が可能です。

 電力を起こすための燃料とすれば、約46%の地産地消が可能です。

 

その他の未利用資源

 

(太陽光発電)

 会津での太陽光発電は、一日あたり平均約5時間の発電ができます。1haあたり年間約90万KWhn発電が可能です。

 仮に現在使用している電力総利用量を太陽光だけで発電する場合、約200haが必要で、約7.2%の広さの土地に太陽光パネルを敷き詰めれば、地産地消が実現出来ます。

 

(風力発電)

 会津布引山の風車1機(能力:2000KWh)で年間約400万KWhの発電が可能です。

 現在の電力を賄うには、45機の風車を設置すると地産地消が可能です。

 

(小水力発電)

 戸ノ口堰(会津若松市)に設置の小水力発電は、年間約100万KWhの発電が可能です。

 現在の電力を賄うには、180ヶ所の設置により地産地消が可能です。

 

まとめ

 

 ここまで見てきたように、豊富に存在する山林資源を有効に利用すること、またその他の未利用資源の活用を図ることは、エネルギーの地産地消に貢献するばかりか、域際収支を均衡に向かわせ、地域を豊かにする作用が期待できることがわかります。

 エネルギー貧乏の実態を認識し、里山として保全を図りながら未利用資源を活用出来る可能性を有し、さらに、資源利用の技術論が整ってきた現在、しっかりとした意思を持って自然エネルギーによるまちづくりを実行すれば、豊かで持続可能、かつ外部依存による災害時の障害を防ぐことまでもが期待出来ます。

 

この資料は、2015年2月1日実施の「まちヨミ」(藻谷浩介著「里山資本主義」を題材とした読書会)にて本会が発表した内容を一部修正のうえ転載したものです。